File No13

シュタインベルガー・リースリング・カビネット
Steinberger Riesling Kabinett

州営クロスター・エーバーバッハ醸造所
Staatsweinguter Kloster Eberbach

今回はドイツのオーソドックスな甘口白ワインのご紹介。
ドイツのラインガウを代表する銘柄、シュタインベルガー。あまりにも有名なので、 名前だけは知っている、あるいはこのボトルなら見たことがある、という方も多いだ ろう。
1135年に創設されたエーバーバッハ修道院のぶどう園としてスタートし、現在は州営 醸造所が所有する。四方を石垣で囲まれた32ヘクタールの畑から素晴らしい白ワイン を生み出している。単に歴史が古いというだけでなく、ドイツでも最高の銘醸ワイン のひとつである。

このワインの格付けはカビネット。当然、同じシュタインベルガーでも他の格付けも 存在する。この下にはQ.b.A.があり、この上にはシュぺトレーゼやアウスレーゼもあ る。

酒というのは原料の糖分が醗酵してアルコールに変わる。だが、冷涼な気候の下で作 られるぶどうは糖度が十分に上がらず、他の地域よりも酸味の強い、つまり酸っぱい ぶどうとなる。出来るワインはアルコール度数が低くなる。これが典型的なドイツワ インのスタイルだ。

アルコール度数は9度。甘口ではあるけれど、酸味もしっかりしている。酸味の強さ はリースリングという品種の特徴でもある。その結果ワインは甘酸っぱい、レモネー ドのような味わい。それも相当高級で上品なレモネードである。確かに甘いけど、酸 味があるからあとくちはさっぱりしている。だから甘口でもスイスイ飲めてしまうの だ。

あまりにも有名になったためか、1980年代半ばから1990年代はじめまで極端に品質が 低下し、「名門もついに堕ちた」と囁かれていたが、見事な復活を遂げた。今すぐ飲 んでももちろん美味しいが、5年・10年と寝かせてもエレガントだ。入手は比較的容 易なので、ぜひ一度楽しんでみていただきたい。気温が上昇するこれからの季節に は、特におすすめである。


写真は1995年ヴィンテージ。1999年ヴィンテージの小売価格は¥3,000前後。
(サントリー、アサヒビール、日本リカーなど多くのインポーターが扱っており、各 社で価格は異なります)